「ものづくりでいかに利益を出すか」は、製造業経営者にとって根源的なテーマだ。ところが、利益を明らかにするために重要な原価計算はいまだに、製造現場の実態を反映していないことが多い。製造現場や調達部門が日々原価低減に挑んでいるにも関わらず、年間を通じて固定された「標準原価」を使っているために、企業の実力を測る情報にはなっていないからだ。
ビジネス環境の変化が加速する中、原価計算の狙いは財務目的から管理目的へとシフトしている。そのため、これまで財務目的で使われてきた標準原価が足かせとなり、迅速な意思決定を助けるツールとして機能していないことも多い。しかし、標準原価をすぐに改めるのは業務上困難なうえに、システム上の制約で難しい場合もある。
本資料では、現場の実態に則した「実際原価」への移行の道筋について、製造業向けのシステム導入で多くの実績を持つコンサルタントらが議論した内容をまとめた。最近は工場のデジタル化が進んだことで、より細かい実績データが把握できるようになり、実際原価導入の最大のボトルネックが解消されつつある。