持ち家と賃貸はどちらが良いか。雑誌やネット上でしばしば熱い議論が交わされるテーマだ。それぞれに一長一短があり、なかなか結論付けることが難しい。では、オフィスを買うか借りるかの2択はどうだろう。「オフィスは賃貸が当たり前で、購入は考えたこともない」という経営者は少なくないのではないか。しかし近年では、経営力を高める手段として、オフィスを自社で所有する流れが強まっている。
基本的な考え方は、住まいと同じだ。「賃貸住宅で家賃を払い続けるのは、お金を捨てるようなもの」と言われることがある。その“捨て金”を自分の資産に置き換えていけることが購入の大きなメリットだ。毎月の賃料をローン返済に充てることで、自社の資産として積み上げていくことができる。
具体的な数字を用いてイメージしてみよう。月々の賃料が100万円の賃貸オフィスなら、年間で1200万円、10年間で1億2000万円の支出になる。仮に3億円のオフィスを購入した場合、単純計算で10年後の価値が1億8000万円以下にならなければ、賃貸より有利と言える。都心のオフィス価格は土地の割合が大半を占めるため、経年劣化による大幅な価格下落は考えにくい。金利分のコストを差し引いても、オフィス購入の優位性がうかがえる。