バッテリーで動かす携帯機器では、利用時間を伸ばすために、消費電力の低減が欠かせない。同時に、電力消費によって発生する熱放出にも工夫が必要だ。半導体デバイスや電子部品、基板上の配線などからの過度の発熱が、素子や回路の動作不良を引き起こしたり、場合によっては破壊につながる可能性があるからだ。ところが、据え置き型の機器のような万全の放熱対策を施すことができず、筐体が小さいため、放熱のための表面積も小さい。発生した熱を、半導体パッケージや基板の配線・ビアなどをフル活用して効果的に逃がす、高度な熱設計が求められる。
携帯機器中で、バッテリーの出力電圧から信号処理や情報処理を実行する半導体デバイスの駆動電圧を作り出す際、高出力電流の外付けDC-DCコンバーターを活用することでシステムのエネルギー効率を高めることができる。外付けDC-DCコンバーターを利用すると、熱設計を容易化する効果も期待できる。
本資料では、オン・セミコンダクター製の高出力電流の降圧コンバーター「NCP1529」を使用した場合を例に採って、携帯機器の基板開発で行う熱設計の手順を解説している。携帯機器の設計で、放熱の工夫に課題を抱えている技術者は、ぜひとも目を通しておきたい資料である。