一昔前の3Dデータは、CADソフトを使って複雑形状の設計に使われるか、エンタテインメントとして3DCGに使われるくらいであった。ところが、近年3Dデータの活用方法は目覚ましいものがある。
第1は3Dデータを製造装置につなぐこと。3DプリンターやNC(数値制御)工作機械によりすぐさま樹脂や金属を成形できる。第2は3Dデータを新しいメディアに載せること。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)に利用することで、製造工程を見える化したり、生産管理を容易にすることができる。
インダストリー4.0のような第4次産業革命では、現実の製造手段や製品とともに、仮想的な世界で3Dデータの製造手段や製品を双子のように対応させる。そして3Dデータを可視化しながら製造や製品の様子を把握し、随時現実世界にフィードバックをかけていくことを目指している。
必ずしも最先端とはいえない紙ベースのメディアでも、まだこの世に存在していない物体を3Dデータからキャプチャー画像を撮って、製造ラインの配置をシミュレーションしたり、組み立てマニュアルを先行して作成したりすることが可能だ。いきなり高度なデジタル化を構築するというよりも、このようなできるところから3Dデータを活用して、一歩ずつ設計部門や製造部門のコラボレーションを図っていくことが大切だ。